MacBook Pro の OpenSUSE を KDE から GNOME に変更したらいろいろと解決した話
事象
OpenSUSE をインストールした MacBook Pro ですが、無線 LAN が認識しない といった目立った症状の他に、何点か気になる点がありました。
- 外部ディスプレイを接続すると特に、ティアリングが目立った
- 内部ディスプレイと外部ディスプレイで同じ拡大率しか選べない
- Chrome、Firefox では OK なのだが、Edgeで動画再生支援が効かず、動画の再生がガクガクする
外部ディスプレイを接続しなければ気にならなかったり、動画を見ない、または Chrome や Firefox を使用するといった回避策はありますが、やはり不便です。
対策
結果論ではありますが、OpenSUSE を KDE+X11 から、GNOME+Wayland に変更しました (正確には GNOME+Wayland で再インストールしました)。それにより、上記の事象は改善しました。
ただ、KDE を GNOME に変更した効果なのか、X11 を Wayland に変更した効果なのかは不明。KDE+Wayland や GNOME+X11 を試してみれば切り分けができるかもしれませんが、使えているので良しとします。もしかしたら、再インストールしたことによる結果、ということもありえますし、他になにかあったら改めて調べてみようと思います。
GNOME メモ
GNOME は、いわゆるミニマム路線です。足りないものは自分で追加する必要があります。なお、GNOME でも OpenSUSE の設定 については実施して、無線 LAN やマイクの認識等しておく必要があります。
拡大率
デフォルトでは 100% か 200% しか選択できません。確かに、外部ディスプレイを接続していると、ディスプレイごとに拡大率を変更できるようになりましたが、流石にこの 2 択では極端です。
ArchWiki の HiDPI ページに、Fractional scaling という項目があり、こちらで詳しく説明されています。端数倍率はパフォーマンスに影響があるので、画面のスケールは整数倍にして、細かい調整はテキストスケーリングで、というのが基本的な考え方の様子。ただ、コマンドを実行することで他の倍率も設定できるようになるので、内蔵ディスプレイは 150% に設定しています。気になるような遅延などは感じません。
クリップボード履歴
Windows だと Winキー+V で呼び出せるクリップボード履歴。KDE も同じキーで呼び出せる機能があり、標準で動作していました。
GNOME にはなかったので、拡張機能を使います。
GNOME Shell 拡張機能 を開きます。
検索窓に「clipboard indicator」と入力し、表示された「Clipboard Indicator」をクリックします。
拡張機能をインストールしていないと、スライダーが「OFF」になっているはずなので、スライダーをクリックして「ON」にします。インストールするかどうか聞かれるので、インストールすると、画面右上、IME の状態表示の横あたりにクリップボードのアイコンが表示されます。
※以下画面はすでにインストール済みで「ON」状態になっています。
拡張機能はインストールできましたが、GNOME は「Winキー+V」を「アクティビティ画面を表示する」(画面中央上の日時をクリックしたときに表示される、通知の一覧やカレンダーが表示される画面がアクティビティ画面です) になっているため、そのショートカットを変更します。
設定を開き、キーボード>キーボード・ショートカット を開きます。
システム>アクティビティ画面を表示する をクリックします。
ショートカットを設定する場合はそのショートカットを、無効にする場合は Backspace キー (MacBook の場合は「delete」キー) を押すと、ショートカットキーが無い (無効) 状態にすることが可能です。
今度は Winキー+V で Clipboard Indicator を開くようにします。Clipboard Indicator のアイコンをクリックし、Settings をクリックします。
下の方に「Shortcuts」があるので、「Toggle the menu」をクリックします。
以下のように「Enter shotcut」と表示が変わるので、Winキー+V を押します。
以下のように「<Super>v」と表示されれば OK です。
この状態で、Winキー+V を押すとクリップボード履歴が表示されます。
なお、KDE のクリップボード履歴でもそうでしたが、ここで選択してもクリップボードへ入るだけで、実際に貼り付けを行うには別途 Ctrl+v などを行う必要があります。UI を開いたときに、クリップボードのアイコンをクリックすると、直接貼り付けを行うこともできますが、選択すると直接貼り付けを行う Windows の挙動とは少し異なります。
赤丸のアイコンをクリックすると、貼り付けまで行えます。
ウインドウ最大化、最小化ボタン
デフォルトでは閉じるボタンのみです。タイトルバーのダブルクリックで最大化、等ありますが、やはりボタンもほしいところ。これは以下コマンドで表示可能です。
余談
以下は余談です。
最初に記載したとおり、特に OpenSUSE に強い理由はなかったので、気になる事象があったら別の OS を試してみようと思っていました。いくつか試したのですが、結局 OpenSUSE が一番良かったという結論になり、OpenSUSE を再度インストールすることを決意しました。その際、ダメ元で KDE から GNOME へ変更してみた、というのが今回の発端です。以下は試した OS です。
Windows
まずは Windows を試してみました。とはいえ、Windows 11 はサポート外。Windows 10 はサポート切れも近いので、これがベストとなると色々面倒な気もしていました。
OS をインストールして、Apple のドライバを入れて一通り正常に動作する状態にはできました。「事象」で上げた症状も無いように感じました。しかし、以下の点がどうにもなりません。
- F1 から F12 を Fn キーと同時押しにしない動作をデフォルトにすることができるが、そうすると音量上下などのメディアキーの機能が使えない (Fn+F10を押してもミュートにならない、等)
- タッチパッドが、二本指スクロールすらできない
- 起動ドライブを GPT にできず、MBR 形式にしないと起動できない
Apple なのか Microsoft なのか、どちらの制約かはわかりませんが、設定どうこうの問題ではないので、解消は難しいと考えて Windows は諦めました。
Ubuntu
Ubuntu も試してみました。
こちらは、キーボードレイアウトがどうやっても意図した通りになりません。具体的には、「かな」で IME をオン、「英数」で IME をオフができません。というか、そもそも「かな」と「英数」を認識してくれず、そのため IME のキーとして設定することもできませんでした。
検索するといろいろ設定方法は出てくるのですが、モデルによっては手順が異なるのか、何故かうまく行きません。ただ、OpenSUSE とは違い、Ubuntu の場合は「事象」で上げた症状は無いように感じました。それなら、Linux でも事象の改善は可能と思われるので、それならキーボードを問題なく認識している OpenSUSE のほうが可能性がありそうだと考えて、Ubuntu は諦めました。
ChromeOS Flex
ChromeOS Flex も試してみました。Google が公開している認定デバイスリストに注記がある通り、カメラが使用不可のようです。実際、インストールしてみるとカメラが有効になりませんでした。
Linux ならともかく、ChromeOS Flex の仕組みでカーネルモジュールを追加したり、パラメータを変更したりといったことが可能かどうかわからなかったため、ChromeOS Flex も諦めました。
まあ、それぞれ解決方法はあったかもしれませんが、最初に使った OpenSUSE が意外とすんなりと動いたので、それを基準に検討することができたのは良かった気がします。