JAPAN 2024
戦略
FP2 で雨が降った影響もあり、あまりデータがない中で迎えた決勝レース。スタート時点でソフトとミディアムでタイヤ選択が分かれましたが、赤旗再スタート時に交換する・しないでも選択が分かれました。また、使用するタイヤもドライバーによってまちまち。それによって、レース中もさまざまなオーバーテイクがみられる、見ごたえのあるレースだと思いました。
レース中に使用されたタイヤを見ると、さまざまなパターンが存在することがわかります。比較的デグラレーションが大きかったことを考えるとハードが正解かと思いきや、結果的にハードはペースが不足しているように見えたので、ミディアム>ミディアム>ハードが正解だった様子。また、抜きにくいサーキットであることを考えて、かつ新品が残っていればという条件はありますが、スタートをソフトにして少しでも前に出ることが重要だったかもしれません。そういう意味では、赤旗再スタート時にソフトへ交換した RB の選択も、ポイント獲得の重要なピースだったのかもしれません。
数字は各セットの周回数。黒文字が新品で青文字が使用済みですが、赤旗前に使用していたタイヤを継続した場合もデータ上は使用済みとなってしまう点は注意です。
(例えばフェルスタッペンの赤旗後のミディアムの「15」は青文字ですが、最初のスタート時に履いていた新品のミディアムのことです)
角田裕毅
上位勢にリタイヤがない中で 10 位入賞。見事なピット作業で前に出ると、ストロールからのプレッシャーもコントロールし、抜かれない程度にタイヤをセーブ。たまらずストロールがピットストップしてソフトタイヤで追い上げる戦略に切り替えると、セーブしていた分を使って角田もペースアップして逃げ切りました。
それでも、終盤ハードで追い上げたヒュルケンベルグ、最初のピットストップでアンダーカットを許したボッタス、戦闘力では勝るであろうストロールにピッタリ後ろにつかれる、何か一つでもミスがあればポイント圏外へ落ちるだろう状況にあっても、完璧なレースを展開してくれました。
L.Norris
優勝したフェルスタッペンの平均ペースとの差を、トップ 10 ドライバーでグラフ化するとこんな感じになります。
スターとポジションから順位を落としたマクラーレンが注目されていますが、今回はフェラーリのレースペースが上回ったとしか言いようがないと思います。レース序盤は太陽も出ていて、ミディアムだとデグラレーションが大きかったようで、ノリスもかなり早めにハードへ交換しました。ただ、そのハードを 15 周で交換しています。ルクレールはそのタイミングまで最初のミディアムで走っています。ノリスとルクレールは同じ周にピットインしていて、ほぼ差がないのでノリスはピットストップ 1 回分のロスを取り戻した形になります。しかし、グラフの赤矢印で示した箇所にあるように、このタイミングはラッセルとの差でギリギリ。メルセデスが赤旗再スタートでミディアムからハードへ履き替えたことを考えると、メルセデスはこのまま最後まで走りきると考えても不思議ではないでしょう。となると、このタイミングでピットインするしかない。
もちろん、結果的にはメルセデスはもう一度ピットインを余儀なくされました。また、ピアストリのペースを見ても、ノリスももう少し第 2 スティントを伸ばしてもペース的には問題なかったでしょう。そうすれば、サインツ程といかなくても、ルクレールの前に出られた可能性はあったと思います。しかし、あの時点では致し方なし、ということでしょう。